「ETFに投資してみたいけれど、税金が面倒臭そう」「ETFにかかる税金を少しでも節税して損したくない」と考えていませんか?
投資をする上で税金問題は切っても切れないものですが、どうしても面倒臭そうなイメージがあるかもしれません。
そこで今回は、ETFの運用益にかかる税金について、初心者でもわかりやすいように詳しく解説します。
これからETFを始める人や、始めたけれど税金についてよくわかっていない人は、最後までチェックしてみてください。
ETFの運用益とは?
まず、ETFの運用益には大きく分けて「売却益」と「分配金」の2種類があります。
それぞれ、性質の異なる運用益となりますので、詳しい情報を把握しておく必要があります。
1つずつ詳しく解説するので、きちんと理解しておきましょう。
ETFの購入額と売却額の差額で得られる「売却益」
ETFの売却益とは、ETFを購入時の価格よりも高い価格で売却することによって得られる利益のことです。
当然ですが、購入時の価格よりも高く売らないと利益は出ないので注意しましょう。また、購入時よりも安い価格で売ってしまった場合のことは、売却損と呼びます。
例えば、あるETFを1株あたり100ドルで購入し、その後価格が上昇して1株あたり120ドルで売却した場合、1株あたり20ドルの売却益が得られます。売却益は、購入時に手数料や税金を差し引いたものです。
ETFの配当金や利息が決算時に支払われる「分配金」
対して、ETFの分配金とは、ETFが保有する資産(主に株式や債券)から得られる配当や利息などの収益を、ETFに投資する人に決算期に分配するものを指します。
分配金は、基本的には証券会社の口座残高に反映される形で入金されますが、場合によっては追加のETFユニットや株式などの形で支払われることもあります。
分配金も投資をする人にとって重要な利益の1つです。ただ、ETFの分配金は税金の対象になる場合があるため、それぞれの状況にあわせて対応する必要があります。
ETFにかかる税金(売却益・分配金)の仕組みを詳しく解説
上記では、まずETFの収益の仕組みを紹介しましたが、売却益と分配金それぞれにかかる税金についても解説します。
それぞれ課税される所得の分類が異なるため、以下をご確認ください。
ETFの売却益にかかる税金
ETFの購入額よりも高く売却した時に発生する利益は、譲渡所得として課税対象になります。税率は、20.315%(所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%)です。
証券会社などで口座開設をする際に、特定口座(源泉徴収あり)を選んでおけば納税まで行ってもらえます。投資する人が自分で納税したり確定申告したりする必要はありません。
もし、特定口座(源泉徴収なし)か一般口座でETFを保有していたなら、それは自分で確定申告して納税する必要があるので注意しましょう。
ETFの分配金にかかる税金
対して、ETFの分配金は配当所得という分類になり、課税対象となります。こちらは、取引口座が3パターンいずれの場合でも、源泉徴収されてから支払いされます。そのため、自分で納税する必要はありません。
ただし、米国ETFの場合はそうとも限りません。詳しくは後述しますが、確定申告した方が得になるケースがあるので、米国ETFを保有している人は次の見出しをご確認ください。
ETFの運用益は他の口座の損失と損益通算できる
ETFの運用益については、他の資産や口座で損失がある場合に相殺できる「損益通算」ができます。
損益通算について詳しく解説するので、さまざまな資産を保有している人や、口座を複数所持している人は読んで把握しておきましょう。
損益通算は年度内の利益と損失を相殺すること
損益通算は、年度内の株式やETFなどの資産について、利益と損失を相殺することです。それにより、その年度における最終的な課税対象所得を決定します。
例えば、1回の売却で20ドルの利益を得て、同じ年度の2回目の売却で10ドルの損失を受けたなら、この年度の純利益は10ドルです。このように相殺して課税額を決めるのが損益通算です。
損益通算しても損失が多いなら繰越控除も可能
損益通算によって年度内に取引した資産の利益と損失を相殺しても、損失が大きくて残る場合、残った損失は次の年度以降に利用できます。これが損失繰越です。
ただし損失繰越には、国や地域によって異なるルールがあります。例えば日本では、損失を翌年以降に繰り越して利用することができますが、繰り越し期限が5年間に限られています。
損益繰越ができそうな場合は、税金を少しでも控除できるように、専門家などに相談してみるといいでしょう。
ETFの分配金の税金に関わる2つの控除
ETFの分配金に関わる税金には、2つの控除があります。それぞれ詳しく解説します。
配当控除
配当控除とは、受け取った配当から一定の額を差し引いて課税対象となる金額を軽減する制度です。
日本の場合、個人投資家に対して、ETFの分配金から20.42%を差し引いて、残りの金額に対して課税が行われます。これにより、実際に受け取ることができる分配金は減少しますが、税金が軽減されるため、投資家にとってはメリットがあります。
配当控除は、分配金にのみ適用され、売却益には適用されません。
外国税額控除
米国ETFなど海外のETFの場合、分配金を受け取る際に海外税金が差し引かれる場合があります。この場合、日本人の投資家なら、日本の税金と合わせて二重課税を受けてしまいます。
二重課税を回避するために用意されているのが、外国税額控除の制度です。具体的には、外国税金が差し引かれた分配金から、その差し引かれた外国税金相当額が日本の課税対象所得から差し引かれます。
ETFの税金で確定申告が必要なケース
ETFの税金で確定申告をしなくてはいけないのは、「外国税額控除」を適用させたい時のみです。それ以外の場合、ETFの税金は基本的に確定申告が不要なケースが大半です。
売却益については、特定口座(源泉徴収あり)を使っていれば必要ありませんし、分配金についてはどの口座でも確定申告不要です。
また、外国税額控除も必ずしなくてはいけないということではありません。少しでも二重課税分を取り戻したい場合は確定申告必須ですが、「面倒だから二重課税を受け入れる」として確定申告をしない選択肢もあります。
ETFの分配金や売却益にかかる税金の節税方法
ETFの税金を少しでも節約したい、という人は、以下の3つをチェックしておきましょう。
- 特定口座(源泉徴収なし)を使う
- NISA口座を使う
- 損益通算を行う
まず、取引が少ない場合は、特定口座(源泉徴収なし)をあえて使っておくのもおすすめです。
運用益が20万円に満たないなら、税金を払う必要がありませんが、特定口座(源泉徴収あり)を選んでいると勝手に源泉徴収されてしまいます。
確定申告すれば還付されますが二度手間になるので、はじめから特定口座(源泉徴収なし)を選ぶ方が楽でおすすめです。
また、運用益が非課税になるNISA口座を使ったり、先ほど説明した損益通算をしたりして、節税対策をしてみてください。
ETFの分配金や売却益にかかる税金を抑えよう
今回は、ETFの売却益や分配金にかかる税金について、基本情報や気になるポイントを詳しく解説しました。
ETFを始めてみたものの、税金の問題は難しそうだから理解できないという人は意外と多いです。
知らないままでいると損をしている可能性もあるので、きちんと理解して自分にとって良い方法を考えてみてください。
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