「個人向け国債は金利が上がっている時に良いと聞いたけれど、なぜなのかな?」と疑問に思っている人はいらっしゃいますか?
安全に資産運用ができる方法として需要があるのが、個人向け国債です。
こちらの記事では、個人向け国債が金利上昇中に有利な理由や、個人向け国債のデメリット、個人向け国債の3つの種類やこれからの金利の動きなど、幅広い情報をまとめました。
ぜひ、個人向け国債について詳しく知りたい人は、最後までご覧ください。
個人向け国債が金利上昇中に有利な理由は?
まずは、個人向け国債が金利上昇中に有利な理由をわかりやすく解説します。
金利が固定されている
個人向け国債の固定金利の商品は、金利が固定されているため、金利上昇や下落に左右されないのがメリットです。
長期的に見て、金利がブレないため安心して投資することができるのが、個人向け国債の大きなメリットです。
また、株式投資の場合、一般的に金利が上昇すると株価が下がる「シーソー」のような関係だと言われています。
そのため、金利が上がっている時は株式投資で儲けを出すのが難しくなるので、それに対して個人向け国債が有利になると考えられます。
元本保証されていて安全
個人向け国債には変動金利の商品もありますが、もし金利が下がっても最低金利0.05%が保証されていて元本割れすることがないのがメリットです。
個人向け国債は元本保証されていて安全な上、現金として貯金しているよりも高い利回りで資産運用することができるということです。
投資初心者が始めやすい投資として、つみたてNISAや投資信託などがありますが、それらも元本保証はされていません。
場合によっては、実際に購入した金額よりも価格が下がってしまう可能性がありますが、個人向け国債はその心配がないです。
まず安全な投資からスタートしてみたい、という人にとてもおすすめな投資方法だといえます。
税制が優遇されている
個人向け国債で得た利子や譲渡益などには、20.315%分の税金がかかりますが、場合によって税制優遇されることがあるので覚えておきましょう。
例えば、個人向け国債の他にも投資商品を持っていて、いずれかでマイナスが出ている場合は、損益通算をして税金対策することができます。
損益通算は、投資の損失と利益を合算することです。それにより、税金計算が変わるため節税になる可能性があるということです。
さらに遺族年金を受け取れる方や、身体障害者手帳を交付されている方などは「障害者などの非課税貯蓄制度」が適用され非課税となります。
個人向け国債のデメリットは?
ここまでは、個人向け国債が金利上昇中に有利になるポイントや、個人向け国債のメリットを紹介しました。
安全性の高い個人向け国債ですが、とはいえデメリットもあります。きちんと把握してから、購入を検討するようにしましょう。
購入1年以内は中途換金不可
個人向け国債は、原則として購入1年以内は中途換金が不可となっています。
とはいえ、1年を越えればいつでも中途換金することができるので、比較的安心して購入することができるのではないでしょうか。
個人向け国債の中途換金は、行ったからといって元本割れになることはありません。
中途換金を行った場合に受け取れる金額は、以下の式を使って計算できるのですが、直前2回分の利子相当額(税引き後)を支払う必要があります。
額面金額+経過利子相当額-直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685
大きなリスクではありませんが、受け取った利子をいくらか返さなくてはいけない、若干のペナルティはあることを覚えておきましょう。
株式や投資信託と比べると利回りが低い
個人向け国債は、普通預金や定期預金として置いておくよりは利回りが高いですが、株式投資や投資信託に比べると利回りが低いです。
そのため、ローリスクローリターンな投資商品だと言えるでしょう。
国が持っている安全性の高い投資商品ですが、大きく儲けることは難しいと知っておいてください。
安全性を考慮して個人向け国債1本に投資していても、なかなか資産を増やすことはできません。
しかし、個人向け国債を分散投資の1つに組み込むことで、ポートフォリオの安全性が高まるのでおすすめです。
個人向け国債の種類を解説
変動10 | 固定5 | 固定3 | |
満期 | 10年 | 5年 | 3年 |
金利タイプ | 変動金利 | 固定金利 | 固定金利 |
金利設定方法 | 基準利益×0.66 | 基準利益-0.05% | 基準利益-0.03% |
金利の下限 | 0.05% | ||
利子の受け取り | 半年に1度(年に2回) | ||
購入単価 | 最低1万円から1万円単位で購入 | ||
発行月 | 毎月 |
個人向け国債には、「変動10」「固定5」「固定3」という3つのタイプがあります。
それぞれ名前からも分かる通り、金利のタイプと満期の年数が違います。
以下、それぞれの特徴を簡単に確認していきましょう。
変動10
情勢の金利の上下に合わせて、半年ごとに適用利率が変動するため、金利が高まるとこちらの金利も上がる可能性があります。
反対に実勢金利が下落している時は変動10の金利も下がることもありますが、下限が0.05%に設定されているので元本割れすることはありません。
固定5
発行のタイミングで5年間の金利が変わらないため、最終的な投資結果がわかりやすいメリットがあります。
金利がどのような変化をしても、固定金利で選んでおけば変わることがないので、運用計画が立てやすいです。
固定3
こちらも、固定5と同じく、発行タイミングの金利が3年間続くタイプです。3年間で満期を迎えるため、5年のものより多少金利が低く設定されます。
3年後にどのようなキャッシュフローとなっているか把握したい人は、固定タイプがおすすめです。
個人向け国債の過去の利率推移と今後の展望
https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/index.html
個人向け国債の金利は、上記のグラフからもわかる通り3種類とも右肩下がりとなっています。
過去の金利の推移を、さらに詳しく紹介していきます。
2007年以降金利は右肩下がり
個人向け国債の金利は、こちらのグラフの左端あたりの2007年ごろから、ずっと右肩下がり状態だったのがわかります。
2016年ごろには、3種類ともに最低金利の0.05%まで落ち込み、100万円分所持していても1年間で500円の利子しかつかない低金利が続いている状況でした。
2019年ごろから10年債を中心に金利がプラスに
やっと金利がプラスになり始めたのが、2019年ごろです。
変動10を中心に金利がプラスになってきていて、合わせて固定5も少し金利が上昇しました。
現状、日本だけでなく世界的に物価上昇が続いていたり、政策金利が引き上げられたりしています。
これらの動きで株式市場も変動する可能性が高く、リスクも高まります。
このような時に、個人向け国債は安全性の高い資産運用として注目が集まりやすいです。
金利上昇時は国債が売られやすく、下落時は買われやすい
個人向け国債は、金利が上昇している時に売られやすく、下落している時は買われやすい特徴があります。
これは、金利と個人向け国債の価格に相関関係があるためだと言われています。
金利が上昇すると債券の価格が下落し、金利が下落すると債券の価格が上昇する傾向があるのです。
これは、景気が悪い時に中央銀行が国債を発行して、資金を多く出回るようにすることで金利が下がり、景気が良い時には反対の動きが怒るからです。
これらのことから考えて、現状の物価高やインフレ状態がしばらく続けば、個人向け国債の金利は上向き傾向が続く可能性があります。
また、株価は下がり傾向にあり、変動しやすい状況とも言えるため、安全性の高い個人向け国債に注目が集まる可能性も高いです。
まとめ
こちらの記事では、個人向け国債の金利の推移や今後の動きについて解説しました。
個人向け国債は、金利が上がって株価が下がっている時に特に需要が増える投資方法となっています。
安全資産を増やしたいと考えている方は、ぜひチェックしてみてください。
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